京都
早春の君尾山−綾部市睦寄町−

 標高581メートル、君尾山の中腹に明光寺がある。密教寺院。創建は推古年間(6世紀)の寺伝がある。延喜年間(10世紀)に理源(りげん)大師が真言道場とした寺。盛期には坊舎は72を数え、所領は上林全域におよんだという。丹波国33ヶ寺の札所霊場の一つ。
 寺の仁王門は栃葺きの重層屋根。鎌倉時代の作。当時としては珍しい重層の門である。深山の重圧に負けないどっしりとした重量感がある。
 訪れた3月中旬、本堂周りの雪は大方融け、わずかに根雪をとどめる。ヤブツバキが満開をむかえ、コガラ、シジュウカラがせわしなく潅木をわたり、早春のすがすがしい雰囲気が境内に漂う。
 山道を行くほどに、淡い黄色の花房をつけたコウヤミズキ、濃い黄色のアブラチャン、淡いピンク色して下向き加減に咲くつぶらな花はオクチョウジサクラ。雪解けの崖地でスミレが花を咲かせ、頭上でキブシの長い花房が風に身を任せている。君尾山の山道もまた早春のさわやかさがある。−平成20年3月−