京都
地蔵院のシダレザクラ−綴喜郡井手町出東垣内−

 樹齢280年、幹周り2.4メートル、眼下に木津川を見下ろす地蔵院の境内でシダレザクラが満開を迎えている。遥か西方に生駒、金剛・葛城の連山が夕焼けに浮きで、西方浄土もかくあらんと思うほどに、シダレザクラは澄んで美しい風景のなかにある。崖下に2本、夫婦ザクラが仲良く並びはたけ一面に菜の花が咲いている。こちらのサクラもシダレザクラ。地蔵院のサクラは、たぶんエドヒカンサクラの一種かと思われる。おそろしく長寿であり稀有である。
 阿讃山地や庵治半島など四国の山地や海浜はヤマザクラの分布密度が高く、例年3月下旬ころにもなると山にサクラのアップリケがあらわれるのであるが、近畿地方のサクラはソメイヨシノなど改良種が主体となっていて、ヤマザクラやヒカンサクラを見かけることは少ない。地蔵院のサクラは稀有、長寿の種を宿しているようであり、各地の公園や社寺に株分けされてきた歴史がある。まったくみるほどに見事なシダレザクラである。
 地蔵院の少し南を玉川が流れ、花見の名所として知られている。約1キロメートルに及ぶ土手のサクラ並木は壮観である。−平成20年3月− 


玉川土手の桜並木