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砂壇 |
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茅門 |
京都・東山の南禅寺から疎水沿いに銀閣寺に往くと、途中、疎水の右手に法然院という浄土宗の寺がある。ささやかな茅門の奥に本堂が東向きに建ち、阿弥陀如来木像を安置する。巨大な寺院が東山を埋める山麓にあって、さほど大きくもない堂宇がかえってこの寺の秘めた魅力を増幅させているようにも見える。
茅門(写真左)をくぐると石段下の左右に白川砂の大きな砂壇を設え、表面を4等分し、水に浮かぶ銀杏や紅葉が描かれている。砂壇の上空ではらはらと紅葉が舞う。変わることのない法然院の晩秋の風景である。
砂壇に描かれる文様は砂かきでいわば法然院流で描かれ、野太く、絵文字のようにも見え美しい。季節季節に衣替えする文様を楽しみに、東山の疎水べりを逍遥する者も多いことであろう。
法然院は学問寺院として聞こえた寺。寶永3年に建仁寺から高麗版一切経を借り受け、5年の年月をかけ訛説が多かった明本北蔵大蔵経(黄檗版)修訂の偉業をなしている。その後、建仁寺本が消亡しているので、法然院の校本は非常に稀有だ。
標記の句を詠んだ如是は法然院の貫主(梶田信順師)を務めた人であった。−平成22年11月−
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