|
和知人形浄瑠璃
(壷坂霊験記) |
|
和知町遠景 |
京都府北部に和知という町がある。この町の大迫集落に人形浄瑠璃が伝わっている。伝承経緯等は定かではない。
和知は都から僻遠の地である。地元の者が京・大坂で人形浄瑠璃を観劇し、人形の頭を手に入れ見よう見まねで演じたものか。その伝承経緯は想像の域をでない。
和知人形浄瑠璃の人形遣いは「1人遣い」である。太夫、人形遣い、三味線弾きが揃っていて手抜きがない。浄瑠璃の形式を整えていることなどからみて、プロの芸能者の指導を得て和知浄瑠璃は成立したのだろう。
愛媛県西予市明浜町の宇和海沿岸に半農半漁の町・俵津という町がある。同町に俵津文楽が伝えられ、天狗久の人形頭を揃えるほどの熱の入れようであった。近年、文楽会館が建築されている。ずぶの素人が文楽を演じることはなま易しくはない。俵津では明治期に大坂の太夫が永住し、また淡路人形浄瑠璃一座とのかかわりをもち道具類を揃えるなどしたという。和知浄瑠璃についても、どうもそのような浄瑠璃の芸能者或いは旅回りの一座が和知人形浄瑠璃の完成にかかわったような気がしてならない。
過日、国道27号線の道の駅「和(なごみ)」(京丹波町坂原)に隣接する道路情報センター内の会場において和知人形浄瑠璃を鑑賞する機会を得た(写真上)。和知太鼓などの伝統芸能とともに定期的な公演活動が行われているのでご覧になるとよいだろう。−平成22年11月− |