丹波、宇治田原、山城、笠置・・・晩秋の陽に北風が馴染むころ、柿の木のてっぺんに熟し柿が五つ、六つ。半分、身の欠けた柿をヒヨドリが荒々しくついばんで、飛び立っていく。やがて、民家の大棟に姿をあらわしたボスザルがあたりを窺う。屋根に姿をあらわした群れの数は15頭を下るまい。やがて大屋根から軒下に移動する子ザル。電線にぶら下がり、ひとしきり遊んだ後、地上をうかがい、庭先のサツマイモ、落花生など手当たり次第に失敬して、屋根と庭とを上り下りしながら移動していく。乳飲み子を抱えた親子ザルに老猿など群れの構成はヒトの社会と似たようなものである。
イノシシ、シカ、クマ、サルなどによる農産物獣害が頻繁におこるようになって久しい。農山村の過疎化が野獣の行動圏を拡大させるのか或いは近隣における宅地化が野獣の生活圏を脅かした結果、民家にまで出没するようになったものか、はっきりしない。ブナ科樹木の木の実など餌の豊凶がそれに影響するとの説もある。獣害は、農家の生産意欲にもかかわる大きな問題を呈するようになった。効果的な獣害対策の先進事例の紹介などが望まれるところである。−平成19年12月−
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