朱の風景−枚聞神社−開門町
枚聞神社 大隈の一宮は鹿児島神宮。薩摩の一宮は枚聞神社(ひらきき神社)である。
 朱の鳥居が薩摩の空に鮮烈な輝きを放つ。枚聞神社は、開聞岳の麓で薩摩隼人の身を案じ、はっきりとした創建年代がわからないほど神代から薩摩の守護神であり続けた。勅使殿を備える社は、鹿児島神宮の境内ほど広くはないが社殿は鮮やかな朱が塗られ、背後の開門岳の緑が社の朱を一層際立たせている。薩摩の「まほろば」を感じさせる風景がある。

追憶の花(菜の花)
菜の花 菜の花は春を告げる花、追憶の花、田園の原風景としていつも心の片隅に咲いている花。
 近年、めっきり菜の花を見かけなくなってしまった。荒地や道端で細々と咲く花のイメージが定着してしまったが、南薩の田園には、菜の花が風にそよぐ風景がある。山川町や開聞町の田園で、菜の花探しをするのもよい。菜の花と開聞岳が同居する風景は絶景である。−平成15年2月−

鰻池-山川町-
鰻池 鰻池は、池よりも温泉や地蔵菩薩堂で有名であるが、その景観にも捨てがたいものがある。鰻池は周囲4キロメートル、水深61メートルの火口湖である。こじんまりとした池周りは断崖をなす。湖面に映る山陰を眺めていると、薩摩創造の歴史を池が語りかける。
 当地はまた、征韓論に敗れた西郷さんと佐賀の乱で破れた江藤新平の会談が行われた場所として知られている。真偽も会談内容も霧に包まれているが、両者の魂は近代国家建設の一点にあり、その心は湖水のように澄みきっていたのであろう。