藩主田中氏の改易が幸いして、町人文化が花開いたというべきか。八女福島の燈籠人形の隆盛などは、そうした文化の集大成のようなものなのだろう。放生会の期間中、毎日福島八幡宮で上演される燈籠人形は、浄瑠璃の囃子で地唄を唄い、それにあわせてからくり人形が動くのであるが、その舞台といい人形つかいといい特異なものである。高さ8b、幅14bもある舞台は、すべて組立式である。舞台の一層目が下づかい場(舞台の下で人形を操るところ)になっていてこの部分はいわば縁下部分と考えられているのか、階数に数えられていないようである。舞台は、三階建てのように見えるが二階建て。伝統工芸の福島仏壇の技術が舞台の組立に活かされているという。舞台を飾る燈籠もまた、八女の特産品である提灯の振興に大いにかかわっているという。芸題は4題ほどあって毎年、順次、替えられる。今年は玉藻之前。難度の高いからくり技術が要求される「送り渡し」や「素抜」(衣装の早変わり)などの見せ場もあり会場は大いに沸いた。午後から、日に4回の公演があった。−平成17年9月− |