♪ イョー古の ハー古の ヨー天の岩戸に ハー神遊びぃ〜 …♪ 秋分の日、稲築町の若八幡神社で楽祭りがあった。“やまのんがく”と氏子の人々が呼ぶ山野の楽は、五穀豊穣、牛馬の安全を祈る行事。七百数十年の伝統があるという。
楽方12人、笛方4人、鉦方と太鼓方がそれぞれ2人、総勢20人に、高張り・弓張り提灯を手にした先導役などを一団として、若八幡神社を出発した行列は山野町内を一時間ばかり巡行し、若八幡神社の境内に到着。巡行の途中、公民館の広場などで楽打ちが行われる。楽方のいでたちは、しゃ熊を被り、腰蓑をつけ、太鼓を胸に下げ、御幣などを飾った差物を背中に背負い、白足袋に草履のいでたち。笛方は、紋服に袴をはき、帯刀のいでたち。装束はみな古色を帯びていて、この祭りの伝統を感じさせる。
九州には「楽(がく)」、「浮立(ふりゅう)」、「太鼓踊り」など、太鼓を胸に下げ舞う芸能がたくさん残っている。山野の楽打ちは12人が二列になって舞い、列が交差することはあっても円になって舞うことはない。歌楽の歌詞は、のびやかな節回しで哀調がある。全体にゆっくりした楽である。薩摩の勇壮な上山田太鼓おどりなどとは対照的であり古式の楽といわれている。 山野ん楽の祭りは、「河童祭り」の異名がある。いわゆる水神祭であり、楽に先立ち若八幡神社の対岸の丘陵(頓宮山)で神事が行われる。水神棚を設け、鯛や御供飯、里芋、栗、酒などを供え神事が行われるのであるが、榊の自然木を活用して水神棚という祭壇が設けられる。 |