九州絶佳選
福岡
門司港の風景−北九州市門司区−
 関門海峡の町・門司は、日本の西の玄関口。大正年間に欧州航路や上海航路が開設された。「ボート・モジ」は、横浜、神戸とともに国際港の名をほしいままにし、かのアインシュタインも門司に滞在し、この港から帰路についた人だった。門司港は、また筑豊炭の積出港としてもおおいに栄えたのである。
 戦時下においては、約200万人の兵士がこの港から南方に輸送され、その約半分の兵士は再び故国の地を踏むことはなかった。繁栄と悲しみの港・門司港はいま、往時の姿そのままに、数々の古跡を残し、観光客で賑わっている。
 門司の魅力は、なんといっても駅舎や洋風建造物群であろう。旧大阪商船支店、旧三井門司クラブなど歴史的建造物が数多く残っている。それらの大半は大正時代の建造物であるが、福岡銀行門司支店などのように現在も盛業中のものもある。門司は大正ロマンの野外展示場といったところであろう。
 旧九州鉄道本社屋、旧門司税関(写真左上)はいづれも明治時代の代表的なレンガ造りの建物である。旧九州鉄道本社屋は、明治24年、門司(現門司港駅)-高瀬(玉名駅)間の開業とともに建てられたもの。現在は九州鉄道記念館(JR九州株式会社所有)として再生し、鉄道ファンのメッカとなっている。旧門司税関は、明治45年の建築。昭和2年に新庁舎建築にともない民間に払い下げられたが、現在は北九州市の所有。木骨構造のルネッサンス様式の建物。港を象徴する美しい建物である。二階の窓ごしに中国・大連市にある帝政ロシア時代のドイツ風建築物(明治35年建築)の複製がみえる。なんともよい雰囲気が漂っている。

旧九州鉄道本社屋 旧三井門司クラブ