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福岡 |
禅寺の風景−福岡市博多区− |
聖福寺の博多塀(写真左、塀の拡大は下)が廻る築地脇から境内に入るとひとひら、またひとひら木の葉が舞い、舞い落ちた木の葉が池底にかすかな影を映している。池の石橋の正面に二層の楼門がそびえている。聖福寺は日本最初の禅窟寺院である。楼上に後鳥羽上皇の「扶桑最初禅窟」の勅額がかかっている。楼門の後方に仏殿、本堂が続き、楼門の右手は鐘楼。
聖福寺は、宋から帰朝した栄西が建立した寺。栄西は、聖福寺の境内や背振山に茶の木を植え、喫茶の風をひろめ、後に京、鎌倉で活躍した人。静まり返った名刹の境内に、凛とした禅寺の雰囲気がただよっている。
九州・博多から対馬まで航路にして約140キロメートル。対馬から韓国(釜山)まで50キロメートルほど。博多は、奴国王が大陸に雄飛し、或いは帰朝の諸僧が文化の閃光を放ったところ。唐から帰着した弘法大師は経典、仏具を保管するため堂宇(東長寺)を建立し、宋から帰朝した弁円円爾(聖一国師)は承天寺を開山。承天寺は宋人・謝国明の帰依を得、聖一国師にまつわり博多山笠の発祥地としても知られている。これらの大刹が都会の真ん中で今日においてもなお隆盛を極めているところに博多のすごさがあるのだろう。−平成17年7月− |
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