金倉寺(76番)−善通寺市金倉寺町−
金倉寺 本堂 金倉寺の仁王門をくぐると、大きく立派な本堂の甍が目に入る。広く清々しい境内に、本堂、大師堂、訶梨帝堂や戦火の傷跡が残る鐘つき堂などの堂宇が巡っている。四国88箇所第76番札所。本尊は薬師如来。境内に茂るクスなどの大樹も印象的。
  寺の辺りは昔の金倉郡で、弘法大師と縁続きの智証大師円珍の生誕地である。寺の創建は善通寺より古く宝亀5年(774年)の建立と伝えられる。
白峯寺(81番)−坂出市青海町−
白峯寺 本堂  白峯寺は、坂出の東部、五色台の白峰の中腹にある。四国88箇所第81番札所。本尊は千手観世音菩薩。寺は、その西方にお椀を伏せたような姿のよい雌山・雄山や瀬戸大橋がみえる景勝地にある。西暦815年(弘仁6年)の建立。弘法大師の創建と伝えられる。
  七棟門の山門をくぐり、納経所を過ぎ頓証寺殿の勅額門の前を右折して100段ほど石段を登ると本堂がある。本堂の右は大師堂。石段の左手の坂に阿弥陀堂、行者堂、観音堂が連なり、右手に鐘突き堂が建っている。境内には堂宇が随分多く、勅使門を備える客殿などもある。鬱蒼とした杉の大木に覆われた境内でカエデが春秋を彩る。
   思ひやれ都はるかに沖つ風 立ちへだてたる心細さを
                            <崇徳上皇>
   よしや君 昔の玉の床とても かからん後は何にかはせん
                           <西行法師>
  本堂に向う石段の下を真っ直ぐに進むと、目の前に頓証寺殿の勅額門がある。本殿は、保元の乱により讃岐に配流され崩御した崇徳上皇を慰霊するため、1164年(長寛2年)に朝廷によって建立されたもの。本殿脇のイチョウの木の下に、西行法師の石像と歌碑がある。歌碑の北側が崇徳上皇の白峯陵の遥拝所。   西行は、上皇崩御の3年後、歌を通じて親交のあった上皇を悼み讃岐路をたどり、ふたたび上皇の霊と歌を詠み交わしたと伝えられる。その幻想的な情景を描写した雨月物語(上田秋成作)はよく知られている。
  晩秋の気配が漂う境内で、真っ赤にあるいは黄色に染まったカエデが秋風にゆれ、木漏れ陽が木立の枝葉を照らしている。白峯寺は、1000年余変わることのない静寂につつまれた松山の古刹。一人また一人、金剛杖に菅笠姿のお遍路さんが、チリン、チリンと鈴の音を秋風にふくませて長い石段を一段一段ゆっくりとくだってゆく。変わることのない讃岐路の絶唱であろう。