石造寺院−高松市国分寺町−
  金堂の裏手の僧房で、若い僧が一人、連子窓から差込む光を明かりに経典を読んでいる。傍らに佇む僧は修法を学ぶ僧であろう。そんな光景が僧房跡覆屋の中で再現されている。
 近年、讃岐国分寺の発掘調査が進み、鐘楼、築地塀など堂宇の遺構が明らかになり、僧房の外観や内部構造の一部並びに築地などの施設が復元された。
  圧巻は、東西220メートル、南北240メートルの寺域に伽藍を正確に復元(縮尺10分の1)した石造の建築物群。南大門を入ると中門、金堂の東に回廊が廻る七重塔、金堂の北に講堂、僧房が連なる。大官大寺式の伽藍。讃岐国分寺を忠実に復元し、築地を巡らせた精巧なものである。
「丸瓦、垂木なども忠実に復元。土地柄、技術をもつ地元の石工が彫りあげたものです。型に流したプラスチックではありません。」とのこと。見事なできばえは感動的である。私たちは、このような精緻な模刻によって歴史の追体験ができる。讃岐は石の文化国。石造寺院は、さしずめ讃岐に蘇った現代版アンコールワットというべきであろう。
  国分寺跡の東側に「讃岐国分寺跡資料館」がある。金堂の精巧な模型(縮尺20分の1)、瓦などの出土遺物の展示や歴史ビデオの放映設備が整備されている。資料館脇に駐車場があり、資料館や国分寺跡の見学に至便である。

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