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佐賀 |
平野の天衝舞浮立-佐賀市大和町東山田- |
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平野の彼方に連なる天山、金山、背振山が秋の日に映えるころ、佐賀平野の鎮守から鉦、太鼓が聞こえる。県下に伝わる五百余の伝統芸能中三百余は浮立(ふりゅう)と呼ばれる芸能。面浮立、鉦浮立、踊り浮立、行列浮立、武士浮立等々、多様な浮立が県下で伝承されている。9月、10月の休日、集落を歩くとどこかで浮立の鉦太鼓が聞こえてくる。早津江川流域の川副町辺りの集落では、昼間は神輿、夜は浮立といった具合で真に盛んである。
佐賀平野は二毛作地帯。純農村地帯である。農業は降雨や台風などコントロールが利きにくい自然相手の産業。農家の豊饒への祈りは強く、また自然への感謝の念も強い。そうした祈りや感謝の気持ちが集落の意思として表現されるものが祭りである。
したがって、老いも若きも一緒になっていわば神賑わいを演じるところに祭りの意義があるのだろう。集落の結束力の証にもなるわけである。山野の楽(福岡県稲築町)や平野の天衝舞浮立(佐賀市大和町)などでは、中学生になると祭りへ参加する。
九州には胸に太鼓を下げて踊る芸能に、福岡県東部から大分県北部地方に伝わる「楽」、佐賀県の「浮立」、鹿児島の「太鼓踊り」がある。「浮立」は「風流」から転じたものといわれ、まつりの行列の華やかな部分を切り取ったものといわれる。
10月9日、佐賀市大和町で平野浮立が白山神社に奉納された。当地区の浮立は、大きな日月をかたどった天月を頭上に載せ舞う「天衝舞浮立」と呼ばれるものである。
8時30分に集合場所から出た行列は、笠鉾を先頭にして白山神社に向かう。鳥居前で浮立を奉納。鉦、太鼓の組が二列になり舞う。胸に締め太鼓を下げた打ち手は、白無垢に振袖を模した布を両脇につける。祭神が女神であるので、このような装束になったものと地元の人。鳥居前から神殿前の広場に移動した浮立に、主役の天衝舞が加わる。腰にゴザを垂れ、腰に短刀を差した姿。失敗をすれば切腹する意をあらわしたいでたち。神を拝み、ひれ伏し、舞を奉納。。小一時間、浮立の奉納は続く。富士町の天衝舞浮立より足の上げ下げなど舞の所作はゆったりとした特徴がある。頭に被った天月は相当な重量になるという。
境内を出た浮立は集落を回り、次々と個人宅に上がり込み夕闇が迫るころまで浮立を舞う。昔は県庁まで出向いて踊ったものでした、と地元の人。(文中の画像はすべて平野浮立)-平成17年10月- |
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