佐賀
末盧国の王墓(久里双水古墳)−唐津市双水−
松浦川が玄界灘に注ぐ河口部に久里双水古墳がある。全長約108bの前方後円墳.。後円部の径は約62メートル。もともと川の扇状地に張出した尾根上に築かれた古墳。遠目にも墳丘部は高く雄大に見える。宿
墳丘部から玄界灘を望むと、蒼い海原にたぶん王が生きた千数百年前と変わらない特徴のある姿で高島が浮かんでいる。古墳から後漢鏡(盤龍鏡、写真左)、壁製の勾玉、鉄製の刀子などが出土した。後円部の石室の粘土床から舟形木棺であった可能性が指摘されている。古墳は4世紀ころに築造されたものとみられている。弥生時代から続いた北部九州の文物受け入れの拠点が末盧国から次第に伊都、、那津(博多)に東遷してゆく過程上の終末期の築造と考えられないか。舶載鏡の出土は1面。直径約12センチメートルと小さく、壁の勾玉がかろうじて王権を主張しているようにみえる。古墳の東側に竪穴式石室のレプリカの展示施設や休憩所などが設けられている。施設の屋根は茅葺。よい雰囲気がある。
近くに県道が通っており見学には交通至便である。この辺りは古墳の群集地帯。久里双水古墳を拠点にして古墳群を巡るとよい。−平成18年2月−