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佐賀 |
室園神社-厳木町- |
唐津の南に厳木(きゅうらぎ)という天山の麓の町があり、室園神社という古社がある。
神社は山の中腹にあって、180段の長く急な石段の参道を上り詰めると拝殿、本殿が建っている。石段の上り口に一の鳥居、少し上に二の鳥居が石段を跨いで立っている。
二の鳥居は肥前鳥居(写真左上)である。左右の円柱の下部が極端に肥大化し、鳥木が笠木と一体となって鳥居上部の重苦しさがなく軽快である。下部は生け込みになっており、簡素で素朴な美しさがある。
肥前鳥居は、天正18年(1590年)11月、鶴田上総介源賢が奉献したもの。県下の肥前鳥居中、最古級である。
鳥居の左手に平地があってここには獅子城主鶴田越前守前の妻、妙香が逆修のため天正14年(1586年)8月に奉献した六地蔵塔並びに天正18年11月に建てられた読誦板碑(どくじゅいたび。写真左下燈籠の右手に見える)がある。妙香は賢の母であり読誦板碑と鳥居が母子によって同時に奉献されており興味をひく。板碑はもともと室園神社の別当寺に納められていたものが当地へ移されたものかもしれない。当時の世相や支配層の信仰生活を理解する上で貴重なものであろう。妙香の板碑の後ろにもうひとつ大きな板碑があるが、こちらの方は文字塔で神名の上に種子が刻してある。神仏混交の習いであろう。−平成17年8月− |
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