富山ノートNO2
神通川
神通川の鮎釣り 夜来の雨あがり、富山市内は早朝から薄日がさしている。気分は爽快。磯部、桃井、西田地方界隈の路地越しに剣岳が浮かんで見える。歩くほどに、桃井町の碩学・中田高寛の和算熟址に建つ民家の隅に咲くムラサキシキブの赤紫が雨あがりの街に映える。
 「神通川(じんづうがわ)」の堤防に立つと、長竿を振る釣人の影が連なって見える。そろそろ落ち鮎のシーズン到来であろうか。越中の釣り人は、黒鯛も気にかかりアユのコロコロ釣の準備にも忙しいシーズンを迎える。 -平成13年9月-
平沢泥滝
画像−泥滝 片貝川の支流、泥滝川に「平沢泥滝(ひらさわどんたき)」(魚津市)がある。
滝は、鬱蒼としたトチの原生林の中にある。泥滝は、日本一の落差を誇る立山の称名滝とはまた趣の異なる名滝であろう。
 滝は、大小の花崗岩からなる緩やかな山肌が雨に洗われ、露出した岩石の隙間隙間から清水が噴き出し落ちていく。滝そばで、はじけたトチの実が枯葉の上に塁をなし秋を告げている。トチの樹林の隙間から富山湾が輝いてみえる。 -平成13年9月-
井波・不動滝・散居村・瑞泉寺
不動滝高岡市街から南方向に暫く往くと、赤谷山の麓に井波の街(富山県井波町)がある。赤谷川の岸壁から噴き出る「不動の水」で咽を潤す人、ポリタンクや大量のペットボトルを積んだ自動車がひっきりなしに名水にを求めてやってくる。
 不動の水の脇から山道を少し登ると「不動滝」がある。山モミジとブナの森に一筋の滝が糸をひいている。古来、飢饉との関わりが深く里人の信仰を集めているという。
■不動滝を後にして砺波平野が一望できる山頂に向かう。断崖を削って開いた林道に、点々と落石がある。奈落を意識しながら進むスリルは白山の馬の鬣に似ている。落石が夥しくし、ユーターンして林道をくだると、樹間から砺波平野に散居村(さんきょそん)が浮んでいる。越中では、屋敷周りに杉を植える住家が一般的であるが、隣家と一定の距離を保ち田園に浮かんでいる。散居村は、この地方独特の代表的で美しい風景である。
■井波町は仏都の顔を持つ町である。「瑞泉寺(ずいせんじ)」はその中核をなす寺院。山
井波の町並み 瑞泉寺
門、勅使門などにこの街の伝統が刻み込まれている。門前で老女が幼子の手をひくいている。ノミの槌音に二人の長い影が溶け込んでいる。彼岸会が秋の深まりを告げる。-平成13年9月-
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