高岡御車山祭(関野神社)の例祭日は5月1日。曳山祭ともいう。氏子7カ町から曳山が出て市中を練り、関野神社に参拝する。祭は高岡城主前田利長が京都祇園祭になぞらえて興し、前田公から山車が下賜されたと伝えられている。そのようないきさつから氏地の人々は単に山(ヤマ)とは言わず、御車山(おくるまやま)となずけたよしである。地山に鉾を立て、背丈ほどもある車輪を備えたそれは、野武士然とした大きな風体を地に這わせ、鉾先の花笠の色気がいわば官製の祭に心地よいやすらぎをただよわせている。時は爛漫の春、万葉の故地で繰り広げられるこの祭に、北陸の人々は春の到来を実感するのである。
7カ町7台の山車は四輪、しかし二番町の山車だけは二輪。いずれの山車も勾欄をめぐらせ、屏風を立て、神座が設けてある。そのまえに人形を飾る。祭の前日は各町内の山宿(やまやど。毎年異なる)において、人形に供え物をして、囃子方の試楽が行われる。囃子方は近在の団体が勤め、囃子の演目は7山車とも異なる。古風な祇園囃子をかなで青海波などの雅楽曲を奏する山もあって、極めて特色のある囃子が堪能できるのもこの祭だ。宵山は内外の観覧が許される。
本祭当日、坂下町で7つの山車が集結(曳揃え)し、一布袋唐子遊、二鉢の木・佐野源左衛門、三恵比須、四大国・唐子、五猩猩・猿、六住吉明神・尉と姥、七熊野神・千枚分銅・鳥居に鳥山の順に市内を練り、本社に参拝。
祭の日は晴天になる日が多く、筍料理が氏地の食膳をかざる。
新湊、伏木、氷見など近在の都市でも盛大な曳山が行われるのもコメや廻船業などで栄えたこの地方のよすがであろう。−平成13年5月− |