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アカテガニ−大洲市長浜町惣瀬− |
夏の月夜の夜、山からいっせいに降り、川端の道路を赤く染める。川に向かうアカテガニ(イワガニ科)の群れだ。
川岸で身体を激しく震わせゾエアを吐き出すと、また道路を越え山に戻ってゆくアカテガニ。そのような光景が南予の至るところでみられた。
アカテガニはタコの特エサ。甲羅が4、5センチほどにもなると、タコツボの具になった。しかし今、南予の海岸端でアカテガニが群れを成し、道路を横断する風景が消えた。道路交通の発達とともに、道路横断中にひき殺され、徐々にその数が減った。ひき殺されたアカテガニの死骸を南予の夏の風物詩とするのは余りにも悲しい。
長浜の惣瀬は県下のアカテガニの繁殖地のひとつ。肱川(写真上)の河口部の集落。この地区でもアカテガニの棲息数は激減しているという。ひき殺されたカニの死骸が道路に点々とある。かつては、西海や八幡浜辺りの漁師がカニを買いに来たという。人とカニの微かな営みが食膳を豊かなものにし、子供のこずかいにもなっていたわけだ
今は昔。たかがカニにかまってはいられない。やるべきことが山とある。しかし豊かな環境を保ち共存することも無駄ではない。アカテガニの横断溝を地下に設けるなどの工夫があってもよいだろう。アカテガニとの共存を期待したい。−平成16年7月− |
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