萩の寺(最明寺)−香川郡塩江町
最明寺  九月の初旬、最明寺の宮城野萩がみごろとなった。寺は香東川上流の塩江峡谷の右岸にある。稲の穂が色づきはじめた四国山地の懐で初秋の訪れを告げている。
 奈良・白毫寺の萩は古都の歴史のよすが。はかない風情を映す萩。最明寺の萩は四国の明るい陽射しのせいか、淡々と季節の移ろいを映す萩。
  最明寺は行基菩薩の開基と伝えられる讃岐の名刹。寺号は北条時頼公が讃岐下向の際、鎌倉の祈願所としたことに由来する。秋の一日、寺に詣で静かに萩を鑑賞させていただくのもよいだろう。-平15年11月-
誓願寺の蘇鉄−小豆郡池田町−
誓願寺のソテツ 小豆島に誓願寺という寺がある。島四国の第31番札所になっていて参拝者の絶えない古刹である。寺の中門をくぐると、正面に蘇鉄、左手にシンパク(写真右)がある。ともに大樹であるが蘇鉄の方は、日本の頂点木である。高さは6メートルを越え、樹齢は千年以上。雌株である。幹周りもゆうに6メートル以上はある。支幹が四方に伸び、蘇鉄が境内を覆う。根元は薄暗く、鬱蒼とした森を思わせる。
  蘇鉄は、もともと本州、四国には自生しない木であるが、珍しさや常緑の縁起のよさが大名や豪商に好まれ、南方から運ばれた。香川県下には、公園や神社、仏閣に蘇鉄の大樹だ随分多い。高松城、栗林公園、仁尾の常徳寺などの蘇鉄はいずれも群落を成す蘇鉄。誓願寺のそれは、一本の蘇鉄である。シンパクの方も幹周りはゆうに2メートルを越える巨木。直立の樹姿はすがすがしく、見事なものである。-平成16年1月-