本山寺（70番）−三豊市豊中町− 　 本山寺は、欄干の付いた五重塔が遠目にも目立って美しく見える寺である。四国88箇所第70番札所。88箇寺中唯一、馬頭観音を本尊とする寺である。 　 本山寺は、長宗我部元親の兵火を免れた数少ない寺院のひとつ。本堂は寄せ棟本瓦葺。切妻本瓦葺の仁王門はどっしりとした八脚門。広くすがすがしい境内に、すっきりした姿の大師堂が映えている。 長尾寺（87番）−さぬき市長尾町− 　釣鐘の下がった長尾寺の仁王門をくぐると、広い境内に本堂、護摩堂などの堂宇が整然と並ぶ。聖徳太子の開創とされる長尾寺は、行基菩薩によって開基され空海の事跡も伝えられる寺。本尊は聖観音。地元では「観音さん」と呼ばれ親しまれる寺である。 　 仁王門の前に立派な経幢が２基ある。寺の東門は、大正年間に栗林公園の北門を当寺に移設し、正門になっていたものである。簡素な趣がある。 椋の寺（輿田寺）−東かがわ市大内町− 　 輿田寺の門前に椋（ムク）と楠（クス）の巨木がそれぞれ一対ある。秋の訪れとともに、椋の落葉が門前を黄色く染めている。冬が過ぎやがて春を迎えると、こんどは楠の葉が門前を褐色に染める。変わることのない季節の輪廻は常楽の写し絵。時には人の世の瑣末を叱ることもあったろう。 　 樹齢600年、高さ40メートル、幹周り6メートルほどの椋は、樹勢が衰え毎年、樹木医の治療を受け続けている。治療痕が痛々しく残る。 　 輿田寺の創開は天平年間。古くから医王山薬王寺の名で知られる四国巡拝の‘奥の院’。結願札所・大窪寺から回向の巡礼者などで賑わう古刹である。