クレオパトラのため息(オリーブ)-小豆郡内海町(小豆島)-
 小豆島の内海町に道の駅ともなっているオリーブ公園がある。陽当たりのよい小高い丘の上で、オリーブの木が潮風に揺れ、ギリシャ風車がゆっくりと回っている。風車のそばでオリーブの実がたわわに実り、黒く熟した実はオイルに変わる日も近い。
  クレオパトラがこよなく愛したオリーブ油。ひしひしと迫るローマの圧力を感じながら、宮殿の窓際でぼんやりとした憂鬱に沈むクレオパトラ。ため息まじりに手にするバージンオイル。オリーブ油には上品なさわやかさと憂いがある。食用としても化粧品としても優れている。
  風車の丘から東方を眺めると、一帯はオリーブ公園になっていて山腹に白亜の殿堂が2棟みえる。ドームのある建物が「オリーブ公園 道の駅、もう一つは、温泉、スポーツジム、レストランなどが整った施設。
  道の駅では小豆島の「特産物の販売コーナー」や「学習展示コーナー」があり、ロビーなどにギリシャ彫刻が展示されている。公園は、オリーブの木や風車、ギリシャ彫刻など地中海の気配が漂う大変雰囲気のいいところ。早速、「道の駅」でバージンオイルを1瓶買い、顔面や頭部に塗りつけたものの、サメ肌にひどいフケ症ときては効き目にも少し時間を要するというものである。
  小豆島におけるオリーブ栽培の歴史は、おおよそ百年ほどになる。明治41年、国策により鹿児島、三重、香川(小豆島)の三県に移植された。定着したのは小豆島だけだった。オリーブは、栽培管理が難しく、土質や気象条件の選り好みの顕著な木。他所では根付かず或いは実を付けるようになってもやがて枯死するなど、なかなかクセのある木。小豆島の平均気温は15度、年間降雨量は1100ミリ、乾燥した海岸端。地中海性気候によく似た気象条件の良さに女神が微笑み、たわわに実るオリーブをプレゼントしたのである。
  もちろん、オリーブ栽培の成功は、公園のある「西村地区」の棟保竹松さんら農家の方が心血を注ぎ養成された賜物。香川県農業試験場から送られてきた苗を移植してから2年余。明治43年、オリーブは見事に実を結び定着した。小豆島の記念すべき日であったに違いない。