四国三郎・吉野川は、四国山地の中央で横谷となってその東方を祖谷山(いややま)、西方を大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ)に分けた。
小歩危の白川の峡谷を遡ると奥小歩危。白川の右岸にぽつりぽつりと集落があり、山腹に拓かれた畑や人家が見える。川原に下り、白っぽい川原石の泥を擦ると青い肌が現れる。いく筋もの線状痕のある片岩である。川原が白く見えるのは減水によって石に付着した泥が乾燥したせい。白川をさらに遡ると、峡谷は次第に深くなりやがてまた谷底が姿を見せはじめ、高知県境の山・三傍示山(1158メートル)が近いことを予感させる。奥小歩危温泉がある。
峡谷の山ツツジ、山藤が満開。小歩危の谷に少し遅い春を告げている。−平成15年5月− |