四国カルスト-高知県高岡郡東津野村、愛媛県上浮穴郡柳谷村等- |
四国カルストは約200万年前の複雑な造山活動によって珊瑚礁の海底が隆起し、雨による浸食を受け出来上がった。地上に石灰岩(カレーン)が露出し、地中にすり鉢状のドリーネを形成している。千メートル級の高地で、これほどの規模のカルスト地形は希有である。山口県の秋吉台よりも岡山県の平和台よりも高度、規模において勝っている。
標高1000〜2000bほどの四国カルストの尾根筋に立つと、茫漠とした原野に白色の岩石が累々と群れを成し、冷え冷えとした冷気が白石を舐めている。土佐と伊予とを往来した人々は、この荒涼とした白の世界に何を感じとったであろうか。荒涼とした山腹で牛が草を食んでいる。
高原は春から夏にかけヒメユリ、シコクアザミ、シャクナゲなどの高地性植物が花をつけ、冬にはスキーも楽しむことができる。高原は、四季折々にレジャーの場を提供している。−平成15年11月− |
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四万十川源流の集落−東津野村中村− |
高知県の不入山麓の鶴松森の一角に中村(写真左)という集落がある。すっかり細くなった四万十川の段丘上にひらけた集落である。棚田の収穫も終わり、川上で三神峯が紅く燃え、常緑の芭蕉が川端で清冽なグリーンを放っている。
四万十川の細流をにさらに数キロ遡ると源流点に至る。
刈り入れの終わった棚田で農作業をする老婆が一人。休憩中のようだった。「兄弟も大勢おりましたが、大方亡くなりました。妹が一人都会に出ております。都会で暮らすよういろいろと勧めてくれますが、山や川の景色をみておりますとやっぱりここが一番です。」と、幸せそうだった。−平成15年11月− |
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