大坂峠(阿讃の峠)-香川県東かがわ市、徳島県板野町-
大坂峠2  阿讃山脈の東端に刻まれた道がしだいに傾斜を増し、阿波と讃岐の国境を分ける高所が「大坂峠」である。源平合戦で屋島攻めに向かう源義経が僅か150騎で阿波から讃岐に越えた峠である。合戦の勝敗を決定づけた奇襲戦を記念すべき峠。後年の道路改良によって古道の位置が少しズレているが気にすることもあるまい。眼下に播磨灘(写真)のすばらしい景観が望むことができる。
  いにしえの幹道も国鉄高徳線の開通(昭和10年)や国道11号線の整備(昭和38年)などによって交通量は少なく、近年は峠を挟む板野町、引田町など地域の人々の生活道としてまた、ハイカーの散策道やサイクリングロードとして親しまれている。 峠にハングライダーの飛行施設も整備されている。なかなか楽しい峠である。
  峠は、眼下に引田、鳴門の海岸線が糸を引き、播磨灘の大パノラマが広がる絶佳である。高松方面から大坂峠へは、国道11号線の東かがわ市引田町坂元の交差点を右折すると道なりで峠に至る。

阿波の札所-板野町等-
大日寺
大日寺
地蔵寺
地蔵寺
  大坂峠を下りしばらく行くと吉野川のなだらなか段丘平野に至る。平野は川の流れに沿って細長くのび幹道沿いに市街が連たんしている。
  大麻山の麓、四国88箇所・霊山寺から、吉野川左岸沿いに山裾を遡ると極楽寺、金泉寺、大日寺、地蔵寺・・・と続く。第10番切幡寺まで約30キロ。仕事の都合などから本四国や一国参りが叶わぬ人々は、10箇所参り或いは5箇所参りと時間の余裕に合わせて札所を巡拝する。
  北5箇所参りでは、地蔵寺から逆打ちで霊山寺に至る巡拝が一般的である。春の巡拝シーズンを迎えて、札所の門前はバスや乗用車で混み合い、白装束の巡拝者が山門をくぐってゆく。5番札所・地蔵寺のイチョウの大木は樹齢800年、新緑が美しい。4番札所・大日寺の門前ではヤマフジが淡い紫の花をつけ、巡拝者が門前で弁当を楽しんでいる。いつも変わらぬ阿波の春がある。田んぼでは田の草が浮きはじめた。ー平成16年4月-