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土居家住宅−西予市野村町惣川− |
四国山脈の西端、野村町に惣川という地区がある。西予市野村町の中心部から20`ほど山地に入ったところ。さらに、惣川から舟戸川沿いにつづら折れの道を遡ると韮が峠に至る。峠は、高知県(梼原町)との県境の峠。坂本竜馬はこの峠を越え、脱藩を果たした。
惣川は土佐と伊予とを結ぶ街道の要衝だった。その中心部天神集落に土居家住宅(庄屋住宅)がある。母屋(本宅)、離れ、茶室、米蔵が修復保存されている。母屋は、入母屋造りの木造平屋建て茅葺屋根、間口12間(24b)、奥行き6間(12b)、1尺8寸(55a)角の大黒柱が用いられ、実に堂々とした住宅である。松材の大黒柱は10bにもなる。大屋根を支える構造部材の梁も随分立派である。
少し距離をおいて母屋を眺めると、棟の両端に反りがある。屋根面積を大きくすることによって、住宅を一層立派に見せる知恵であろう。集落に藁葺屋根の建物が数棟あるが、中にやはり反りが入ったものがある。この地方独特の建築様式を伝えるものであろう。
土間のクドに火が入り木がくすべてある。住宅を乾燥させ、防腐防虫を図る知恵。
土居家住宅は役目を変え、一般公開され、青少年などの宿泊研修にも利用されている。集落の棚田では稲の刈り取りが始まり、無数のアカネが透き通った風に乗り空を赤く染めている。道端の茶堂から世間話に余念のない村人の弾んだ声が聞こえる。-平成16年9月- |
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