最御崎寺−室戸市−
最御崎寺
最御崎寺
最御崎寺 鐘石
 室戸岬の尾根上に、最御崎寺(ほつみさきじ)がある。寺は、四国88箇所第25番札所。スダジイ、タブノキ、クロガネモチなど暖温帯植物が生い茂る鬱蒼とした樹林のなかにある。
  尾根の先端が太平洋に接する辺りで、山塊は険しい断崖を成し、崖下に洞窟が二つある。西側が「御厨人窟(みくろど)」、東側が「神明窟」。いずれも大師が青年期に修行した洞窟と伝えられる。窟の前に立ち、太平洋に臨まれよ。波頭は高く、岩に砕けた飛沫が視界を覆う。いっときが過ぎると、紺碧の「空」と「海」が現れる。洞窟からみえる空・海こそ大師の修行の写し絵。空海が修行の原点とした室戸岬。唐から帰朝した空海は、再び岬を尋ね、嵯峨天皇の勅願によって最御崎寺の伽藍を建立したのである。
  寺の境内に「鐘石」(写真左)という丸みを帯びた大きな石がある。石で叩くと透き通った金属音がする。サヌカイトではないかと思う。石の表面に空いた一見、花びらのような穴こそ1000年以上続く遍路の風に開花した庶民の大師信仰の証である。鐘石を叩くお遍路さんの顔は真剣である。−平成16年7月−

御厨人窟

神明窟

室戸岬海岸