灯ろう流し−広島市−
 昭和20年(1945年)8月6日8時15分、広島上空に原子爆弾がさく裂し、街が一瞬にして廃墟と化した日から数えて、今年は61年目を迎える。
 わすれることのできない悲しみの灯が静かに川をくだってゆく。閃光を浴び水を求め川にたどり着いた人々は、川面にわが身を映し、親や子の嘆きを思いつつ息絶えた。 
 広島市内の川を赤、青、黄色の灯ろうが、ゆらゆらとくだってゆく。灯ろう流しは広島の盆行事。原爆が投下された8月6日の夕刻から行なわれ、しめやかで厳粛なものである。人それぞれの願いが書き込まれた灯ろうは、灯ろう舟や岸辺から次々に放たれる。
 太田川の分流元安川など河岸一帯は広島平和記念公園(平和公園)になっていて、灯らうが風に吹かれて行きつ戻りつゆらゆらとくだる灯りの向こうに原爆ドームがうかんでいる。−平成18年8月6日−