可部の街を過ぎ太田川が小雨に煙る狭い峡谷を縫うように流れる。川岸でネムノキがピンクの花をつけ、その先端をまつ毛のようにカールさせている。この河岸はネムノキが随分多いところ。
鬱陶とした峡谷に可愛らしい季節の贈り物を得て、洋館も軽やかに見える。
レンガ造りの寄棟、平屋、桟瓦葺きの洋館は、明治45年竣工の元亀山発電所。たび重なる水害に見舞われ、昭和18年の大洪水では、半分以上が水没する被害を受け、昭和47年7月の水害を契機にして閉鎖。 洋館は、太田川漁協の事務所として使用されている。洋館の50メートルほど上流に漁協の養魚場がある。土手にエノキなどの巨木が繁っていて渓流釣や川遊びにもよいところ。近くにバス停がある。−平成18年7月− |