久井の山田の畦でキキョウの花が秋風に揺れている。その下でリンドウが太く短かい茎にたくさんの花をつけている。蒲の穂のさきでウリカエデの葉が少し黄ばみ始めた。
鷹巣山の麓の艮神社の鎮守から太鼓の音が聞こえてくる。秋祭りのようだ。
神事の後、神社境内の野舞台でウラヤス舞が奉納され、続いて久井神楽が奉納された。備後の神社には野舞台が建っているところが多い。芝居、神楽など多用途に使われたのだろう。
久井神楽は祭文が多くテンポもゆるやかである。衣装に凝ったところはなく簡素である。少しきつめの備後弁で歌謡漫才をおりこんだ能舞は親近感があって大いにうけている。うまいものである。
幕間には、紅白の餅やすしなどが氏子に配られ、緩やかでよい時間が過ぎてゆく。
神社の拝殿右手前に宝篋印塔(写真下)がある。相輪、笠、塔身、台座のバランスのよい塔である。台座に反花はないが米山寺(三原市)の宝篋印塔に似ている。鎌倉時代のものか。
風化が進み銘は確認できないがこのような美しい塔がさりげなく鎮守にある。なんともよい風景にであった。−平成18年11月3日−
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