不動院 太田川の左岸、牛田新町の住宅地に不動院がある。見上げるような楼門を潜ると正面に金堂、その右手に鐘楼がある。いずれもこけら葺きの建物。両堂の間の奥まったところに不動院が建っている。
不動院は、14世紀に、足利尊氏によって国ごとに設けられた安芸安国寺と伝えられる。一時期、荒廃した寺は、戦国期に毛利氏の使僧安国寺恵瓊によって再興された。
金堂(写真上)は、恵瓊が周防国山口から移築した伽藍と伝えられる。中世の唐様(禅宗様)の建築物である。裳階が付いた入母屋造り。我が国最大規模の唐様の建物である。屋根の四隅が反り、重厚な大屋根を軽やかにみせ、広大な寺域とよく調和している。
寺は、恵瓊の後にでた有珍によって真言宗に改められ、寺号も不動院に変更されたという。安芸の名刹である。−平成18年6月− |