奄美大島
金作原原生林-名瀬市-
 金作原(キンサクバラ)原生林は名瀬市南部の山地に所在する.。原生林には、アマミノクロウサギなどの稀少動物の棲息地。
 金作原の林道を行くと、ヘゴ、スダジイ、イジュなどの亜熱帯広葉樹が樹林をなし、コモチシダなどの植物が林道を覆っている。グリーン一色に染まった森の空間に、亜熱帯のたおやかな異境がある。野ボタンが樹林の隙間からこぼれた光を浴び、淡紅白の光を放っている。金作原にグリーンに染まった亜熱帯の絶景がある。
 年間3000ミリに達する降雨と高温が森をはぐくむ。じっとりと全身が汗ばむように感じるのは、樹木の葉がビニールハウスのように空間を覆っているせいである。
 島の樹木はパルプの原料として伐採され、危機に瀕した時期もあった。しかしいま森は危機を脱し、自然の姿そのままに奄美の大地に根をおろしている。
嘉徳海岸-瀬戸内町-
嘉徳海岸 奄美本島の南部、瀬戸内町の東部に嘉徳集落がある。嘉徳湾沿いにほどよく発達した海岸線が美しい弧線を描く。海岸線に沿うように細長く集落が開けている。
 背後に迫る山塊は集落の要害。貝塚跡は集落の永い平和のあかし。道端でそよぐマンゴーの実は海神の賜物であろう。
 集落のすぐ裏手は海岸。エメラルドグリーンの海に純白の波が寄せては消え、消えては寄せる。潮騒が集落をつつみ、蘇鉄の下でハマヒルガオがひっそりと淡いピンクの花をつけている。嘉徳は悠久の邑。波のかなたに蛇皮線姿の唄者(ウタシャ)が浮かんで消える錯覚を覚える。
 嘉徳には島唄がよく似合う。歌手の元ちとせは嘉徳集落の出身とのことである。♪・・ここにいるよ あなたが迷わないように ここにいるよ あなたが探さないように・・♪
 奄美空港の売店で奄美島唄の歌手・牧岡奈美のカセットテープを買った。歌声は奄美の海のように澄んでいて美しい。