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中之島
トカラ列島・御岳-十島村中之島- |
北大西洋と東シナ海が対峙する海域に、トカラ列島が南北に細く長く伸びる。中之島は、列島の中ほどに浮かぶ周囲32キロメートルほどの島である。
島の北側にひときわ高く聳える山が「御岳」(標高979メートル。写真右)。島の中央部に高尾盆地が開け、なだらかな御岳の裾野でトカラ馬が悄然と草を食む。そこには雄大でたおやかな異境がある。御岳の賜物である。
高尾盆地に、九州では最大級の反射望遠鏡を備える天文台や歴史民俗資料館などの施設が整備されていて、ちょとした文化ゾーンとなっている。シーズンには見学者で賑わうところ。
高尾盆地を東に行くと日の出集落がある。折から、ホダ木となるシイの原木の切り出し作業が行われ、シイタケの駒打ちが行われている。トカラのシイタケは香りがよく、独特の歯ごたえがある。焼いてよく和え物などにもよい。多分この地方以外では入手しがたいのではないだろうか。本土では、シイの木の調達難や収量の関係などからクヌギやナラなどをホダ木としているところが一般的。民宿などに投宿の際には、トカラのシイタケを所望されるのもよいだろう。 |
天文台 |
トカラ馬 |
中之島歴史民俗資料館 |
中之島シイタケ |
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中ノ島のピースのこと |
ピースは茶と黒と白のブチ犬である。島の深夜のガイド犬として、歩いて20分ほどの温泉まで案内してくれる。湯からあがるまで「待っとってくれるか?」と言っておくと、コックリうなずき約束を違えない「なごらん荘」の飼犬である。遠くで犬が吠えれば、トコトコト早回りして、くだんの犬に近づきクンクンと根回わしをして吠えないよう治めてくれる。犬の主人は、「へー、そうですか」と、まったくピースのガイド振りに気付いていない。ピースこそ名犬と言うべきであろう |
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七ツ山海岸- |
中之島の東部に、なだらかな曲線を描いてセリ岬に至る「七ツ山海岸」(写真左)がある。海岸線の中ほどの山の斜面に、トカラ牛の放牧地が少し黄ばんでみえている。その彼方で、御岳が天を突く。海岸線に眼を転ずると、右前方に口之島が青く長く連なってみえる。中之島一等の風景であろう。
近年、中之島では、トラノオなどの花卉栽培が盛んである。日当たりのよいなだらかな山の斜面では牛の放牧が行われ、畜産が島の伝統的な産業となっている。「昔は港湾が未整備でしたから海中に牛を泳がせクレーンで船に吊り上げ本土に出荷しました。なかなか骨の折れる作業でした。今は港湾の事情が好転し、大型船(としま丸1380トン)が就航するようになって牛の出荷作業も楽になりました。」と、島の人。
海岸べりの道路ばたで、犬に襲われ亡くなったヤギの親代わりになって仔ヤギを育てる子供に出会った。この島ではぺットは犬や猫だけではない、ヤギにも十分に愛情が注がれ、子供も動物も大自然の中でのびのびと育っている。 |
七ツ山海岸から
口之島を望む |
島の子供達
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