|
大分 |
杵築の町並み−杵築市− |
別府湾の枝湾守江湾に注ぐ八坂川の河口部に杵築城がある。天守閣が建築されて三十数年になる。町並みの保存にも市民の熱意が感じられる城下町だ。大原邸など武家屋敷が一般公開され、代々医業によって社会貢献されている藩政期の御殿医・佐野家の邸宅が拝見できるなど町の篤志家による一般公開も積極的に行われている。杵築は時代を超えいま新たな光を放っている。
杵築の城下は、安土桃山時代に萌芽し元禄年間にほぼ完成したといわれる。城下は概略、町の南、北の高台上に武家屋敷が連たんし、その間を縫うように通る街道沿いに商家などが建ち並ぶという他の城下とは少し趣の異なる構造になっている。したがって、この城下には町の南北をつなぐ大坂が随分多い。北台の「酢屋の坂」からあるいは対岸の南台の「志保屋の坂」から一方の坂を眺めると、両坂がすり鉢の底に向かっているように見える。その景観がまた大変美しく、杵築の代表的な坂の風景になっている。北台から城に向かう勘定場の坂は海が見える広い石畳の坂。紺屋町の坂、久保の坂など本当に坂の多い町である。ゆっくり時間をかけて散策するのもよい町である。 |
|