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大分 |
緒方の滝と水車−豊後大野市緒方町原尻− |
別府湾に注ぐ大野川の支流・緒方川の段丘上に緒方の町がある。町の南部は祖母山(標高1757b)山系に連なり宮崎県の高千穂町に接し、西部は阿蘇山系に連なる竹田市に接する。
緒方町は、稲作、畑作の盛んな町。町を貫流する緒方川沿いに、原尻という在所がある。河川は深い段丘崖を成し、異境の趣のあるところ。この里に、幅120b、高さ20bの滝がある。異境の里を一層、深遠なものにしている。
半円形をした原尻の滝は、東洋のナイアガラと称せられる。切り立った断崖から直下に落ちる怒涛の水が激しく滝壺を叩いている。滝の少し下流に架かるつり橋から滝の全体を眺めることができる。
阿蘇周辺にはこのような阿蘇溶結凝灰岩の断層崖に発達した滝が少なくない。原尻の滝はその規模も大きく、大変美しい滝である。
原尻の里は、このような地形を利用して、特異な水利が考案され豊かな生産力が維持されてきた。近在の宮迫東西石仏(磨崖仏)や尾崎の石風呂など、古代から連綿と続く緒方の石文化もこの段丘平野で田を打ち続け、豊かな暮らしを得た人々によって支えられてきたのであろう。
当地の水利は、滝の上流左岸から取水し、井路によって段丘上部に展開する集落に導水されている。用水は段丘上部の井路から徐々に田に落とし、緒方川の本川に排水される仕掛けになっている。水路と田の高低が逆転するところなどに大小さまざまの水車が設けられ、とうとうと流れる井路に軋み音をたてながら回るいく連もの水車が、この在所の所在を告げている。緒方町には、大変美しい田園の風景画がいく枚もいく枚も連なっている。−平成17年5月− |
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