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宮崎 |
高千穂峡-高千穂町- |
ひく水に麻のをひてて月まつは清き河原の天地根元作りの家
<北原白秋> |
延岡から五ヶ瀬川沿いに、バスに揺られて1時間15分。高千穂の中心地、バスセンターに着く。
高千穂の街は明るく、近代的なビルや商店が並ぶ。千木の架かった草葺屋根の民家が連なる神さびた風景は過去のものとなって久しく、高千穂駅周辺や神楽宿あたりに数棟、草葺屋根の古民家をみるのみである。
昨年、高千穂地方は、集中豪雨による土砂災害等に見舞われた。高千穂鉄道は復旧の見込みがたたないまま歳を越し、廃線となる模様である。高さ105メートル、長さ354メートルの東洋一の鉄橋がむなしく冬の陽を浴びている。五ヶ瀬川上流に高千穂峡がある。高千穂バスセンターから数分のところ。昭和16年、高千穂峡を訪れた白秋は、眼病によって光りを失い、ひく水に・・・の歌を詠った。翌昭和17年没、享年57歳だった。死期を予感した静かな境涯を高千穂にうつしている。
高千穂峡は玄武岩が柱状節理を成す延長7キロメートルほどの深い峡谷。そそり立つ漆黒の岩石は平均80メートル、高いところでは100メートルもある。奇観の絶景である。峡谷の岩盤から噴きだす滝は真名井の滝。神さびてグリーン色した峡谷に、霊気を含んだ滝水が落ち、ゆらりゆらりとボートがゆく。−平成18年1月− |
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