岩つつじ山-鶴田町- 　　鶴田町の城内集落の小高い丘で岩つつじが満開になった。谷あいを岩つつじが鮮やかなピンクで染めている。 集落の入り口に設けられた駐車場から、家族連れや若いアベックが次から次へと数珠繋ぎになって、１万平方メートルほどあるつつじ山に向かう。つつじ山の小高い丘の上の休憩所から、花見客の弾んだ声が聞こえる。丘近くの棚田では、田の神さんが微笑んでおられる。北薩の山間にのどかな春爛漫の風景がみえる。絶景である。 　岩つつじ山は、町内の篤志家によって無料で開放されている。花見客の礼儀もはなはだよい。ゴミひとつ残さず、行儀よく静かに花見するさまはいかにも薩摩人らしい。 　里近くの田間田地区の道端には「六角の田の神さん」が祀られている。腰を落としたちょっと変わった姿のユーモラスな田の神さんであるが、顔などの輪郭が少し崩れているのも農民の生き死にを見守ってこられた永い歳月の所以からであろう。