大隈の大崎の一角に、不思議に明るい社がある。クスや杉の大木の隙間から春の陽がそそぐ境内で、おみくじを引くのは家族連れ。輪になって謎解きでもしているような深刻な顔や思わずほころんだ顔がある。社には、いかめしさが微塵もなく、社名は照日神社(てるひじんじゃ)と四角張らず、拝殿なども簡素に造ってある。
照日神社は、江戸期に摂津(大坂)から荒佐に向かった人々が伊勢神宮に立ち寄り、許しを得て当地に社を創建し、維持されてきたものという。その特異な由来が、氏子はむろん近在の人々の厚い信仰を得ているのだろう。移住民の祈りが漂う庶民的で明るい社である。
折から、神社下で年一度の「荒佐祭り」が行われている。露店がテントを連ね、植木市が立ち、舞台では新舞が奉納され、合間に歌謡曲も聞こえる。広場では、小・中学生の剣道大会が行われている。輝北、有明、串良など隣町の剣士も参加して、今日ばかりは少年少女の気合に祭神さまも驚いておられることだろう。土地の方に伺うと、豆剣士は、校区のスボーツ少年団、学校のクラブ活動、道場などで剣を学び、心身を鍛錬しているという。剣道に限らず、スポーツにおける鹿児島出身者の強さは、こうした校区活動などが基礎となっているにちがいない。−平成15年3月9日− |