はしむれ川遺跡-指宿市-
はしむれ川遺跡遠景 はしむれ川遺跡は、開聞岳の噴火や土石流に呑み込まれ、生活現場がそのまま火山灰や土石に埋もれてしまった日本版のポンペイ遺跡である。
 実はこの遺跡、地表下5メートル、5000年に及ぶ地層の編年から、縄文式土器は弥生式土器よりも古い時代の土器である、という考古学上の定説が確立された記念すべき遺跡である。
 9世紀に開聞岳最大の噴火があった。「日本三代実録」に土石流や降灰による「はしむれ集落」の壊滅的被害の実態が記録されている。千年後、遺跡の発掘調査によってその事実が立証された。三代実録の記録の確かさにもまた驚きを感じる。
 いつの時代にも、災害史は無論、政治、経済、文化など私たち日本民族の生きた時代の記録がく必要であるだろう。千年、二千年後、或いはもっと遠い未来に思いを馳せるとき、それは諸分野の研究の効率化に資するばかりか、民族の進路の選択や生活意識などにもきっといい影響をもたららすに違いない。−平成15年2月−

北限のマングローブ-喜入町-
リュウキュウコウガイ(メヒルギ)叢林 鹿児島市から国道226号線に沿って薩摩半島の東岸を南下すると、喜入町に生見という地区がある。道路沿いにマングローブの群落を見ることができる。
 熱帯雨林地帯の汽水域に生える植物をマングローブと総称するが、生見のそれは「リュウキュウコウガイ(メヒルギ)」である。群落は、道路側からみると生垣のように見え、見過ごしてしまうほど規模は小さいが、10アールほどある。群落の南側から眺めると、熱帯の雰囲気がある。−平成15年2月−。