野武士の山(竹山)−山川町−
竹山の風景  国道226号線に沿って指宿から山川町へ向かう峠のトンネルを抜けると、右手に開聞岳、左手に竹山が対峙し、両者の間に見事な田園が広がる。竹山はコニーデ式の標高約200メートルの山。
 竹山は高さにおいて開聞岳とはまったく比べものにならないが、牙をむき天を突くその異様さが広く単純な風景に緊張感を与えている。絶景である。山周りにソテツが自生する。山の背後は海面に落ちる断崖。近くに地熱発電所や山川天然砂蒸保養所などがある。

スメの風景-山川町-
スメの風景 山川町の鰻池の東岸に地獄平という地区がある。集落を歩くと、道路の辻から微かに硫黄の臭いが漂い、民家の庭先から或いは谷筋から至るところで蒸気が噴出し、この集落は温泉の上に造られた集落のような印象を受ける。
 地区民はこの恵みを決して無駄にはしなかった。舛で蒸気を集め、これを熱源として煮炊きにうまく活用したのである。「スメ」というこの設備を使って、ツワブキを蒸す主婦が二人、炊事に余念がない。「芋は蒸せますか」と尋ねると、「蒸せないものはありません、何でも蒸しあがります。」とのことである。カマスなどの敷物によって温度を調節するという。家庭にこもらず、世間話などしながら、和気あいあいと炊事ができる。何とも主婦には羨ましいスメではないだろうか。何百年も変わらない生活様式なのだろう。薩摩の谷あいに輝いた生活がある。近くに鰻温泉があり訪れる人も多いところである。