桜島(大観橋) |
周囲55キロほどの桜島を一周すると、集落や観光ポイントの所々に避難舎や退避壕が目に入る。西郷さんとともに鹿児島の象徴として知られるこの火山島は、また悲惨な災害の歴史をもつ島である。
島内の有村集落は大正3年と昭和21年の二度、桜島の爆発により溶岩で埋めつくされた。その故地に「大観橋」が架けられている。全長は215メートル。橋から海岸縁を見渡すと、その流れのまま錦江湾に押し出された溶岩が波状の曲線を描きながら、七重八重に小さな半島をつくる。その特異な景観は、皮肉にも桜島の名勝となっている。 |
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桜島(城山) 鹿児島の島々(桜島) |
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高千穂峯 |
高千穂の山のいただきに息づくや大きかも寒きかも天の高山
<斉藤茂吉> |
高千穂登山の魅力は、何といっても、巨大なカルデラの底から吹き上げてくる硫黄の臭いを嗅ぎながら、その外周をそろりそろり歩きながらみる下界の青く霞んだ絶景であろう。
赤茶けた溶岩は崩れ易く、カルデラ地獄を意識しながら頂上を目指す。日本の霊峰はたいがい火山の痕跡をもつのであるが、この霊峰は白山より立山よりはるかに男性的である。5月、山の斜面はミヤマキリシマが咲き乱れ、その向こうにブルーのパノラマが展開する。カルデラの切り立った外周と見事に調和している。絶景である。−平成15年5月− |