福岡 千�高ﾆ千早新田−前原市千早新田− 千早振神代の海を田作りて民もゆたかに歌ひ舞里　＜仙�香� 　志摩の加也山（かやさん）（写真左上中央）を臨む雷山川の河口部に千早新田という地区がある。地区の西に加布里（かぶり）の港が開け、一帯は魏志倭人伝にいう卑弥呼の時代に栄えた「伊都国」の玄関口だった。要港としての機能は衰えることなく、藩政期には天領として日田代官所の差配を受けたところだ。 　千早新田は、新田と名のつく藩政期の干拓地。千早新田の地蔵堂の脇に標記の歌碑（写真左下）がある。歌は、天保4（1833）年、干拓の完成を祝して博多・聖福寺の住職仙�腰a尚によって詠まれたもの。仙��83歳の作品である。「歌ひ舞里」を「加布里」にかけて詠むところは、和尚のユーモアであろう。 　仙�高ﾍ美濃国南武芸村（今の関市）の生まれ。11歳のとき仏門に入ったが19歳のとき藩政を諷詠し、国外追放の処分。「傘（からかさ）をひろげてみれば天が下、たとい降るともみの（・・）は頼まじ」と詠って出立するのだった。仙�高ｪ聖福寺入りしたのは39歳のとき。聖福寺の法灯を継いだが、還暦を過ぎると住職を譲り、虚白院に隠棲し得意とした書画を通じて民の教化に努めたようである。88歳で遷化。 　仙�高ﾍ書と人柄から良寛、白隠、慈雲とともに近世の高僧の名をほしいままにした１人。博多の文化も仙�高ﾉよって解釈され全国に発信されていったのである。随分多作の人で書画など多くの作品が残っている。−平成17年7月−