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福岡 |
シロウオの季節−福岡市− |
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背振り山系の水がぬるみはじめるころ、室見川にシロウオの群れが上りはじめる。川に簗が立ちウミネコが飛び交う風景は博多の風物詩。例年、2月下旬から4月下旬ころまでシロウオ漁は続く。今年は上ってくるのが少し早いよと、漁師の声もはずんでいる。
体長5センチメートルほどの透き通ったシロウオは、おどり食いが有名。生きたまま鉢に泳がせて掬いあげて醤油や二杯津で食べる。シロウオはシラウオではないと通はうるさい。吸物にすると「つくし」の文字形になって椀に漂うところから、つくし魚の名もある。
福岡市内の室見川、多々良川、御笠川で行なわれていたシロウオ漁も現在では室見川のみになってしまった。河川水の流量と因果関係があるのではないかと指摘する者もいる。白く美しい博多のシロウオは、水量や川底の状況、水質などが条件に合わないとなかなか産卵に上ってこないものらしい。
都市における産業の進展や人口の増加によって、私たちは想像もできないほど水を使用している。しかし、水という資源を私たちは生産することが出来ない。利水のあり方について様々な議論がある。豊かな水環境は私たちの永遠の課題であり続けるだろう。−平成18年2月− |
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