志摩町は、唐津湾の東方に突き出た糸島半島の西部にある町。半島の付け根の辺りを雷山川が流れ美田が広がり、雷山川の北に可也山(365b)が聳える。筑前富士の名がある可也山がビュートの麗姿を天空に映し、立石山(209b)、彦山(231b)と鼎立し、立石山の北方で芥屋の大門が玄界灘に迫る。
立石山辺りから眺めると眼下に、引津湾(写真上)や芥屋海岸の絶景に接することができる。可也山が引津湾に溶け込む景観はまことにのびやかで雄大である。
引津湾は引津亭が置かれたところ。遣新羅船の停泊地だった。引津亭を出航した遣新羅船は本邦最後の停泊地、松浦の神集島をめざした。万葉集に引津の亭で歌った遣新羅使の歌が7首ある。御崎にある綿積神社の境内に万葉歌碑が2基立っている。うちひとつの歌碑に「草枕旅を苦しみ・・・」(下記参照)の歌が刻まれている。福田赳夫翁(元内閣総理大臣)の揮毫。揮毫の経緯はわからないが、味わいのある枯れた字が万葉の故地によく似合っている。
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