九州絶佳選
福岡
柳坂のハゼ紅葉−久留米市山下町豊田−
   わが国は筑紫の国や 白田別 母います国 ハゼ多き国 
                              <青木繁>
 古くから植林が進み、常緑樹が多い九州の野山にあって、筑後平野を彩るハゼの紅葉は貴重な秋の風物詩。筑前、筑後、肥前・・・と九州では江戸期からハゼの植樹が奨励され木蝋の生産が行なわれた。
 久留米藩では特にハゼの栽培が奨励され、今日においても田畑の畦道や山裾、神社の境内などでハゼの紅葉をよく目にすることがある。緩やかな坂道に1キロメートル、いやそれ以上に延々と山裾まで植栽された柳坂のハゼ並木は、筑後路の絶唱であろう。ハゼを愛でる人出が絶えることはない。
 日本書紀は、五十猛神が諸々の樹種をもって天降り、筑紫の国に最初に蒔きおおしたとしるしている。今日においても、九州は種々の植林が盛んである。−平成17年12月−