大分県の日田地方から流下する筑後川が、ようやく福岡県の朝倉平野に口を開ける辺りに恵蘇八幡宮がある。筑後川の右岸に当たり、川に迫る尾根の先端部に恵蘇八幡宮が建っている。さらに、八幡宮と筑後川の狭間に国道386号線が走り、国道を隔てて水神社がある。水神社の崖下に山田井関が筑後川を遮るように長く延びている。この筑後から日田に通ずる喉仏の街道が「恵蘇宿」だった。関所が設けられ、渡し場があった。
いま、街道に恵蘇宿の面影を見いだすことはできないが、宿の天蓋にふさわしい樟の巨木が僅かにそのよすがをとどめているように思われる。幹周り18b、根回り35bの樟は隠家森(かくれやのもり)といわれ、うっそうとした樹冠が天空を覆っている。全国第8位の樟の巨木である。圧倒されるほど太い老木の根元に八畳ほどのウロ(空洞)があるという。水神社境内に樟が二本繁っているが、こちらの樟もまた圧倒されるほど太いものである。併せてご覧になるとよい。
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