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福岡 |
唐原の里−糸島郡二丈町満吉− |
地蔵(標高676b)の西麓に満吉川の渓谷がある。県道49号線から天降天神社前の道路を通り、渓谷沿いの山道を道なりに進むと、山中にぽっかりと穴をあけたような唐原の山田が開けている。戸数は十戸足らず。棚田の稲は色づき、ハサに架かった稲田の彼方に、糸島の加也山、玄界灘の大観が開け、澄みきった空にアカネが浮いている。
唐原は平家の落人の里。平重盛の内室と千姫、福姫が隠れ住んだところと伝えられる。たんぼの中に「都見(みやこみ)石」や千姫などの墓所が残る。集落から15分ほど渓谷を行くと、千寿院ヶ滝(写真左)がある。岩盤を滑るように落ちる滝はなかなか美しいものである。森に水音が響き、杉木立に射す光は清冽である。唐原は桃源境。福岡の都心から遠くはないところに、このような美しい里があること自体驚きである。―平成17年8月― |
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