九州絶佳選
福岡
小呂島−福岡市西区−
 小呂島(おろのしま)は、九州本土(福岡市西区姪浜)から45キロ、周囲3キロ余の南北に細長い島である。姪浜から旅客船で65分。壱岐の東の海中にあって壱岐とほぼ同緯度線上にある。漁業を生業とし、人口は230人ほどの島。島の集落は、港のある島の南部にあり民家が集中して建っている。
 島の東側に玄武岩が露出する岩山が海岸に達しており、その岩山上に、七社神社、金毘羅神社、毘沙門天などの神社がある。玄武岩の断崖が美しい海岸である。断崖下で、エメラルドグリーンの海に白波がはじけている。
 民家の裏山は畑。収穫をしたゴマが干してある。農小屋の庇に玉ねぎがつるしてある。保存のきく玉ねぎは大事な野菜。さつまいもを植える家も随分多い。時化がつづき本土から米の搬入が途絶えると米の代用ともなり、貯蔵食品として貴重なもの。「昔は山の頂上まで畑でした」と島の人。畑の面積は、食料事情の変化や高齢化によって相当減少している。
 水と電気は生活の必需のもの。水道水は、ため池の水をろ過した陸系と海水淡水化装置で生成した海系があり、両者が併用されている。海水淡水化装置は日産、4、50トンの生産が可能とのことである。電気はA重油によって発電されている。電話は海底ケーブル。携帯用電話の基地局が設置されている。
 島の漁協購買部で食品や生活雑貨が販売されているが、宿泊施設はない。フェリーの便は少なく(1日1〜2便)、海が時化ると欠航になる。観光、釣などで島を訪れる際には、寝袋、テントなどを用意するとよい。
 玄界灘の真っただなかの小呂島がいつまでも美しい島であることを祈りたい。
島周り 金比羅神社 海水淡水化装置