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福岡 |
那珂川べりの洋館(旧福岡県公会堂貴賓館)−福岡市中央区西中洲− |
薬院新川が那珂川に合流する西中洲の一角に、美しい洋館が建っている。辺りは博多湾口に近く、カモメが舞うところ。川を隔てて洋館の東側に九州一の歓楽街・中洲、西側に高層ビルが林立する天神の繁華街がある。
洋館は明治43年3月竣工。木造二階建て、天然スレート葺き。正面に石柱を用いたポーチが突出し、向かって左隅に尖塔をもつ八角塔が張り出し心地よい緊張感がある。建築面積は396平方メートル。落ち着いたフレンチルネッサンス様式を基調とする建物。
洋館は、はじめ九州沖縄八県連合共進会の来賓接待所として建築されたが、その後公会堂、福岡高等裁判所、福岡県教育庁舎等約1世紀にわたり一貫して公共建築物としての用途に供されてきた。しっとりとした落ち着きが感じられるのもこうした用途を想定して設計されたのであろう。設計は、福岡県土木部技師三條栄三郎。太宰府天満宮楼門、福岡県立図書館、福岡県庁舎等明治、大正期に多くの設計を手がけた人だった。
いま洋館は、平成17年3月に発生した福岡県西方沖地震に被災し現在、休館中。平成18年1月から復旧工事が始まる。
那珂川沿いに明治期の洋館がもう1棟、旧日本生命保険株式会社九州支店社屋(現赤煉瓦文化館)が現存している。公会堂貴賓館の近くにあるが、この建物も現在修復工事中である。内部の見学は可能であるが外壁が工事用足場で覆われている。平成18年の2月中に完了見込みとのことである。 |
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