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福岡 |
東郷神社-福津市渡- |
東郷神社は、玄海灘に突き出た渡半島南端の大峰山の中腹にある。一帯は東郷公園として市民によく知られたところ。公園の展望台に立つと、眼下に勝島、その向こうに大島を望む。晴れた日には沖ノ島、小呂、壱岐の島影を見渡すことができる。
東郷神社は東郷平八郎元帥を祀る社である。元帥は、日露戦争で連合艦隊司令長官を務め、旗艦三笠で艦隊の指揮を執り、明治38年5月27日、決死の敵前回頭(敵艦に船腹をみせ接近戦に誘う戦法、旗艦の集中攻撃に有利な反面、攻撃にさらされやすい戦法)の奇襲によってバルティック艦隊を完全に殲滅した。バルティック艦隊は、当時、世界最強の戦力を誇る艦隊だった。アメリカ大統領ルーズベルトは、「これは世界が目撃した最大の驚嘆事だ。トラファルガー沖海戦ですらこれに匹敵するものではない。」と評価したのである。
東郷が長官に任命されたころ将校の多くは東郷を評価せず、酷評する者もいた。国運がかかる難事にも東郷は動揺することもなく、困惑の体もなく部下を慈しみ士気を高揚させ、数々の逸話を残している。顔だちも何となく西郷隆盛と似たところがある。生まれも同じ鹿児島市の加治屋町。薩摩藩の在郷教育の伝統が身に染みていた人だったのだろう。
旗艦三笠の主砲や大砲7門が公園に顕彰されていたが、第二次世界大戦後、兵器処理によって砲身は切断、処分された。幸い、切断された砲身の一部が残り、境内の資料館脇に展示されている。日本海を眼下に望み、往時を振り返るのもよい。
東郷神社は、いまでは受験生の合格祈願の参拝で賑わう平和な社であるが、おみくじが少し変わっている。和英のおみくじである。東郷元帥が英語を独学で習得し、7年間イギリスに留学したことに由来するものであるらしい。値段も30円と安い。「おみくじを20年前から30円で自動販売機で売っておりますが、納入業者の方が亡くなられ、販売機の値段の更新をしないまま今になりました。」と、神社の方。 |
三笠砲身 |
東郷神社おみくじ |
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