|
福岡 |
筑前絶唱(清水寺)−若宮町清水− |
久山から犬鳴峠を越え、犬鳴山の山裾を北に向かい乙野の集落を過ぎると黒丸の清水集落に至る。黒丸川の最上流部に当たるかなり高地にある集落である。眼下に黒丸川が、その南に犬鳴川が流れ川沿いに平野が広がる。
清水集落の高台に清水寺がある。急な石段を登ると瀟洒な本堂が建っている。天平年間の聖武帝の勅願寺で行基の開基。鞍手郡内最古の寺だ。本尊千手観音菩薩は、行基の作と伝えられる。寺伝は、上野の興国寺住職元寿師が諸寺巡礼の際、1653年(承応3年)に当地に逗留し再建したと伝えている。
鐘突き堂の前庭で藤棚から満開の花房が垂れ下がり、その下で静かに花見をする村人が十数人、輪になっている。寺の北辺で雁城(標高333b)、天ノ坊(標高267b)が常緑の光を放ち、山裾に漂う金色の雲海は満開になったシイの花。黒丸川と犬鳴川を分ける丘陵に漂う雲海は、まもなく訪れる麦秋の予兆。装飾古墳の主・竹原の王がサシバを掲げ眺めたであろうとこしえの村の彼方から、筑前の絶唱が聞こえてくるようである。清水寺近くの平山寺跡御堂に平安末期作の薬師如来坐像と宝篋印塔(写真参照)が残っている。
|
|
平山寺跡御堂 |
|
|
|
|